山陰中央テレビジョン放送株式会社
テレビの枠を超えた無限の可能性に挑戦







地域に根差した事業展開で山陰の魅力を発信
フジテレビ系列のローカル局として、情報番組の制作・放送、イベントの企画運営などで地域を盛り上げる《山陰中央テレビジョン放送株式会社》。島根県初の民間テレビ局として1970年に開局、翌年には鳥取県へもエリアを広げ、山陰の発展に貢献してきた。創業50周年を来年に控え、田部長右衛門社長(40)のエンジンに拍車がかかっている。「社長に就任して4年目。メディアを取り巻く環境が激化してくる中で、どうすればもっと地域に根差した広がりある事業ができるか模索してきました。創業50周年に向け、番組面のクオリティーアップやCSR、海外展開事業など、放送だけではない様々な新規事業を計画しています」。
海外への事業展開は5年前から着手している。総務省の支援制度を使って、マレーシアやシンガポールのテレビ局と共同で番組を制作。現地で放映してもらうことで、山陰の情報や魅力を発信している。「5年連続実施しているのは、キー局、準キー局を除く地方局では弊社だけ。今は国の補助事業ですが、自走化を目指して昨年、コンテンツ戦略室を東京に設けました。独自のノウハウと人脈で海外にコンテンツを輸出できるよう準備を進めています」。今後は、韓国や香港、台湾などのエリア進出も目指しているという。
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会社が発展していくためには、経営陣自らが現状に常に批判的な視線を持ち続けることが不可欠。田部社長は、若手を中心とした社員の発奮を評価しつつも、満足することはない。「弊社ができて半世紀。『地域と共に』と言い続けてきましたが、本当に地域の役に立ってきたのか、と常に振り返って反省することが大事。地域の発信力が弱いということは、地域メディアの力が低いということです」。田部社長は現状を厳しく分析しつつ、地域メディアの可能性も語る。「山陰には確かに宝がたくさんある。でも、危機感を持って変革していかねば埋没しかねません。我々には今、山陰のコンテンツを世界に発信して、ビジネスにしていく力が求められています」。
地域のために何ができるか―。そう問い続けて半世紀。TSKは今、テレビという枠にとらわれずVRやARを活用したメディア開発やインターネット事業、さらに住宅展示場など様々な事業を推し進めている。無限の可能性を秘めたクリエイティビティ―にあふれているのだ。
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経理部 達山 このみさん(28)
小さい時から“テレビっ子”で、学校から帰るとかじりついていました。番組制作はもちろん、テレビ局が手掛けるイベントにも関心があって入社しました。
一昨年までいた制作部では、番組の制作現場で出演者やスタッフに指示を送るフロアディレクターを担当。生放送の現場で、収録がスムーズに進むよう仕切るのは緊張しますが、無事終わった時の達成感はそれ以上でした。今は経理部で収入や支出をチェック。数字は苦手でしたが、会社の事業や方向性などが垣間見え、非常に勉強になります。仕事の効率化も意識できるようになりましたね。

報道部 平川 翔也さん(24)
大学で県外に出た時、島根について聞かれても何にも答えられない自分に気づかされました。生まれ育った場所を人に伝え、その良さを自らも感じられる仕事として、メディアに関心が向き、自分の声や表情で様々な情報を届けられるアナウンサーを目指しました。
夜間のタクシー事故が相次いだ時には、車のライトに注目して取材。ハイビームを使用していない一般ドライバーが多いことが分かり、特集を組んで注意を呼び掛けました。24時間365日アンテナを張り続けるのは大変ですが、誰かを助けたり、笑顔にしたりできるやりがいある仕事です。

放送技術部 川本 竜平さん(27)
大学では、情報工学科でソフトウェア関連を勉強。入社後3年間は総務部システムエンジニアとして、社員のパソコンの管理や簡単なソフトの開発に携わっていました。放送業界特有の複雑なソフトが多く、初めは涙が出そうでした(苦笑)。
昨年から放送技術部に配属。音声を担当し、撮影現場でマイクを付けたり、ミキサーで複数の音声を調整したりしています。話し手の声を適切に拾うには技術が要り、緊張が強いられます。幅広く仕事ができるのがローカル局の良さ。音声技術を身に着けたら、映像系も勉強したいです。

本社営業部 作野 美加さん(24)
島根大学で水泳部員だった時に寒中水泳の取材を受け、「地元の人の頑張りを発信できる仕事って素敵だな」とメディア業界に興味を持ち始めました。
CM枠の販売や、イベントの協賛社を募っています。視聴者のタイプは番組内容や放映時間で変わるので、顧客の業界情報を勉強した上でニーズを聞き出し、相手にとって最適な枠を提案できるよう四苦八苦しています。何気ない会話が商談に結び付くこともあり、休みの日は、話のネタ探しにも余念がありません(笑)