株式会社 アイ・コミュニケーション

IT技術を地方で生かし温もりあるコミュニケーションを

お年寄りにも優しい双方向通信システム「知らせますケン」を開発

「マルチデバイス化が進む一方、昔ながらの受話器付き電話を望む高齢者も。IT弱者に寄り添える存在でいたい」と目次社長

 次々と新しいサービスを生み出し、今や企業活動にも個人のライフスタイルにも不可欠なアイテムとなったIT。高い利便性や機能性がもてはやされる一方で、機器を使いこなせない人の日常に目を向けられる企業はどれほどいるだろうか。松江市に拠点を置く《株式会社アイ・コミュニケーション》は、スマートフォンやパソコンの操作が苦手な高齢者でも、簡単に利用できるアイテムを開発。コミュニケーションツールとしての活用を狙うだけでなく、健康福祉や防災などにも役立てている。「IT時代だからこそ、ITが使えない人を守らなくちゃ。うちの使命は、困っているおじいちゃん、おばあちゃん、そしてそのご家族に笑顔を届けることです」と目次真司社長(59)は言い切る。

 松江高専卒業後に県外の土木会社に勤め、畑違いの情報通信事業に関わり始めたのは約35年前、米子でケーブルテレビ会社設立の話が持ち上がった頃だった。「ものが出来あがっていく過程が目に見えて分かる土木と違って、電気関係は学生時代から苦手でした」と苦笑いする。しかし、「米子に映像の文化を創る」という経営者らの理念に感銘を受け、ケーブルテレビのシステム構築・運用を行う会社に入社。技術を習得し、山陰のCATV事業草創期の一端を担った。

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当時のケーブル工事は、設計から施工まですべて大手家電メーカーに一任するスタイル。お客様の予算と要望に合わせて打ち合わせを重ね、材料はコストと品質を比べ合わせて設計事務所が選ぶのが当たり前―という土木業界を知る目次社長の目には、不可解に映った。そこで1990年、ケーブル専門の設計・管理を担う前身の《株式会社メディアトーク》を設立。メーカーに依存しない中立の設計事務所は当時、日本では画期的だったという。

 ケーブル専門だった同社に転機が訪れたのは、2004年に受注した松江市島根町全世帯への光ファイバー敷設。「お年寄りが喜ぶものを」「住民生活が変わるようなサービスを」と注文した町長に対し、提案したのがテレビ電話を活用した完全双方向の告知通信システムだった。画面付きの告知も完全双方向の告知もない時代。地元のシステム開発会社や松江高専に依頼して、試作品を作るところからスタートした。その後NTTのテレビ電話端末と組み合わせた双方向告知通信システム《知らせますケン》を開発、音声だけでなく画像や映像での双方向告知を可能にしたのだ。「パソコンが苦手なお年寄りでも、受話器付きの電話なら使える方が多い。タッチするだけで動かせる、説明書が要らないような簡単なシステムにこだわりました」と説明する。そして何より、地域住民同士のコミュニケーションに寄与した。「車の運転が難しくなったお年寄りさんは外出しにくくなります。テレビ電話は、顔を見て話ができるので喜んでもらえたようです。地域内は無料で通話できますしね」。

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高齢者の見守りにも使える簡単操作のインターネットテレビ電話「ルシアン」

寄贈型私募債を利用し、山陰合同銀行と連名で松江工業高等専門学校へプロジェクターを寄贈

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利用者目線のサービスで地域の防災や福祉にも貢献

 《知らせますケン》の導入自治体は現在、北海道から沖縄まで全国46自治体、約86000台まで広がった。その内訳を見ると、小さな地方自治体ばかりだ。ここにも目次社長の信念が伺える。「うちは基本5000世帯未満の自治体にしか営業しません。その規模ならお互いに顔を見知っているので、安心して顔を出して電話できるからです」。もう一つのこだわりが全世帯設置だ。高齢者世帯だけに設置して、保健師や看護師、役場の担当者からだけ連絡がいくようなシステムでは、高齢者が“楽しくない”。地域全体が繋がるからこそ、生活必需品としてだけでなく、娯楽の要素も生み、それが暮らしを豊かにしていくのだ。

 黄土色の地色に、ブラウンのブチがアクセントの愛らしいマスコットキャラクター「知らせますケン」。高齢者を守る「番犬」的な存在に、という想いを出雲弁で表現した。昨年初めて、《ゆるキャラグランプリ》に出場、企業部門に参加した約600のキャラクターの中で見事14位に輝いた。スマホ版の《知らせますケンⅡ》でユーザーに投票を呼び掛けていた制作課の宮本莉果さん(23)は、「好成績に正直驚きました。利用者の方々が喜んで使ってくださっている結果だと思っています」と笑顔を見せる。入社2年目の宮本さんは、告知システムのコンテンツの作成と配信を担当。自治体の情報を視聴者が見やすく理解しやすいようにフォントや色合いを工夫して配信するほか、料理レシピの紹介や子供向けの動画など自社のオリジナルコンテンツも提供している。インターネットテレビ電話《ルシアン》の使い方を紹介した動画の作成や自社のホームページ、フェイスブックの管理、チラシなどの制作も。「大学で学んだデザインの知識をいろんな媒体で生かせるので楽しい」と宮本さん。企画会議ではユニークなアイデアを積極的に発案、練り込みが弱く採用に至らないことも少なくないが、「トライ&エラーです」と前向きだ。「若者は簡単にできることが、年を重ねると難しくなることもある。利用者目線で自社コンテンツの活用を考えていきたい」。

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 「ITベンチャーだけどITが使えない人がターゲット」という会社の姿勢に引き寄せられるように入社したのは、技術課の西田涼さん(27)だ。松江高専で情報工学を学んだものの、プログラミングには苦手意識があった西田さん。「他のIT関連企業が技術力を前面に出していたのに対し、ゆるキャラも登場するなど異彩を放っていたのがうちの会社でした。ここなら、高専の知識を生かしつつ他社と違うことができそうで」。プログラムの開発管理や保守を担当して8年目、自治体やNTTとの窓口となり、時には他社の幹部クラスと打ち合わせすることも。クラウド型ソーシャルサービス《知らせますケンⅡ》のシステム開発もメインで担当した。「若いうちから高い経験値を得られ、自らのスキル向上を実感します」。社内には契約する全自治体のテレビ電話端末があり、不具合があればすぐ対応できる体制になっている。直接高齢者ユーザーと話すこともあるという西田さんは、「受話器付きのテレビ電話なんて時代に逆行しているかもしれない。でもスマホやタブレットを使えない人もいる。そんな人を見捨てるのではなく、さまざまな創意工夫をして支援していきたい」と熱っぽく語る。

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 《知らせますケン》導入自治体の8割弱は東日本。2010年に開設した東京支社を拠点に各地を飛び回るのが目次社長の長男で、営業課の目次英人さん(30)だ。NECネッツエスアイで7年間、システムエンジニアとして活躍、昨年帰郷した。幼い頃の将来の夢は保育士だったという目次さん。子供と同じく社会的弱者である高齢者に優しいサービスを生み出す父親の背中を見て、得意分野ではなかった工学系の大学に進学、知識や技術を学ぶようになった。現在はエンジニアとしての経験を生かしつつ、全国の自治体への商品提案やデモンストレーション、見積もり作成などを行っている。今、力を入れている営業の一つが、被災地での活用や高齢者の見守り機能だ。《知らせますケンⅡ》には、役場からの防災情報に対し、ボタン一つで高齢者が応えられるサービスも。「避難できますか」の問いかけに「できない」という返事があったり、返答がなかったりすれば、優先的に支援に向かえるというわけだ。「退職時は、『もったいない』とも言われました。でも故郷で、自分の技術や知識を還元できる方がやりがいは大きいですね」。大手に引けを取らない製品作りで全国展開する同社には、常に最新の高い技術力が求められる。目次さんの言葉に実感がこもった。

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 《アイ・コミュニケーション》の商品を求めるのは、親や祖父母の喜ぶ顔が見たい家族や高齢者目線を大切にしている自治体がほとんど。困っている人に耳を傾け、声を聞きとっていく―社名が物語るように、現場のあちこちにあふれる「愛」が商品やサービスを生み、会社の原動力になっている。やさしさを大事にしてゆける、そんな職場なのだ。

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年2回、社屋周辺の草刈りとセットで行うバーベキュー。東京支社スタッフも加わり、全社員が参加する。汗をかいて共同作業することで社員間の距離が縮み、普段と違う同僚の顔も見られる

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株式会社 アイ・コミュニケーション
業種
情報通信業
事業
内容
双方向告知通信システムの開発、販売、テレビ電話端末を利用した各種サービスの提供、デジタルコンテンツの企画、制作、販売、及び配信、コンピューターソフトウェアの開発、販売
創 業 平成20(2008)年4月1日
代表者 代表取締役 目次 真司
社員数 21名(男11名 女10名)
    ※パート・アルバイト含む
〒690-0816
島根県松江市北陵町46-4
TEL /0852-28-1001
東京支社

求める人材像

コミュニケーション能力があり、素直な人

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