ファミリーイナダ 株式会社
社員とともにマッサージチェア業界をリードする





マッサージチェアメーカーから最新技術で健康をサポートする“健康総合カンパニー”へ
マッサージチェアの世界トップメーカー《ファミリーイナダ株式会社》。本社を大阪に置き、鳥取県大山町に工場を構える。
創業者で現会長兼社長の稲田二千武(にちむ)氏は、大山町出身。「事業を通じてふるさとの産業発展に貢献したい」と、大阪にあった工場を平成6年に移転。豊かな自然に囲まれた4万平米の敷地で、人間の健康をサポートする技術の開発や、製品の製造を行っている。
創業は昭和37年。《稲正万能工芸社》としてわずか4畳半の間借りからのスタートだった。稲田会長22歳のときだ。メーカーの下請けからスタートしたが、「より付加価値の高い商品を作りたい」と自社製品を開発。自動マッサージ機《ファミリーチェア》を発売し、起業からわずか6年で全国制覇を果たした。経営は順調だった。しかし、その一方で傲慢な経営者へと歩みを進めていたという。そんな矢先に悲劇が起こる。オイルショックと300名を超える社員の稲田会長に対する不満だった。自身を振り返り社員に心から詫びて社員とベクトルを合わせ新たなスタートをきった。
昭和45年、社名を《ファミリー株式会社》に変更。その名前には「社員たちを家族のように思いやる経営をしたい」という思いと、当時業務用が主流であったマッサージチェアを「家族みんなが利用できるように、家庭用として普及させたい」という思いが込められたという。 以来、マッサージチェアの製造、販売を行うトータルメーカーとして、社員とともに常に業界をリードする製品を世に送り出している。

代表取締役会長兼社長
稲田二千武 氏
世界に通用する人材を育てる
全社員の物心両面の幸福を追求し、世界の人々の笑顔を願い、心身の健康に貢献すること―ファミリーイナダの経営理念だ。
マッサージチェアは、日本が生んだ“文化的健康製品”だという稲田会長が掲げるビジョンがある。「健康に対するニーズが年々高まっています。“嗜好品”から“生活必需品”として、世界中に普及させたい」。世界を相手に仕事をしていく上で社員に望むのは“一流の働き手”になって欲しいということ。
平成25年、社名を《ファミリーイナダ株式会社》に変更。約50年間に培った研究や製造のノウハウを活かし、日本のみならず世界の為に働ける人材に育てていくことが稲田会長の使命でありその思いを受け継ぐ社員とともにマッサージ機の枠を飛び越えた“健康総合カンパニー”として躍進している。
通信機能搭載の画期的製品を開発

《ルピナスROBO》56年研究開発した8台の人工知能メカにより、人の指のような自然な揉み心地を実現。さらにAIが身体の体型や凝り具合から判断して施術を行い、その人に合った気持ち良さを可能にした
開発や研修、新製品製造の要《大山工場》。ここで今、研究開発しているのが、AI技術を搭載したマッサージと健康管理ができる次世代型マッサージチェア《ルピナス》の新モデル《ルピナスROBO》だ。ルピナスROBOは様々な機能を搭載し、マッサージだけではなく、健康面も手厚くサポートする。厚生労働省が提唱する健康づくり3大要素“運動・栄養・休養”に基づいて開発された《365日24時間管理健康システム》がウェアラブル端末と同期しアプリと連携することで、リアルタイムに身体の情報をクラウドで管理。家族の健康管理のサポートが可能になった。さらに、専用アプリ《ルピナス見守り365》との連動で家族の健康データの閲覧や、病気予防のアラームを受け取ることも。そして蓄積した健康データを元に、1人ひとりに健康のアドバイスをする《AI健康アドバイザー》も搭載した画期的な製品だ。
このような画期的な製品を研究開発しているのが《大山開発技術セクション》だ。開発エンジニアを務める松井優さん(29)はルピナスROBOの中で、アイコンなどのデザインやタップ後の作動のシステムといった、タブレットの画面遷移の開発を担当した。「稲田会長や専門業者に確認しながら進めていく中で、デザイナーのやりたいことやそれを実装する開発、商品を販売する営業の希望をどうすり合わせていくかは、とても大変でした」。そうして聞き取った要望を調整しながら提案書にまとめていく。「弊社の開発エンジニアはただ設計すればいいのではありません。メーカーでの開発には、社内・社外両方とのコミュニケーション能力が必要になります」と言い、「大変ではありますが、自分のアイデアが製品になって世に出るのはとてもおもしろいです」といきいきとした表情で話してくれた。

大山工場で開発エンジニアを務める松井優さん

女性・若手も多数活躍中だ
新しいものを生み出す楽しさ
ルピナスに搭載する通信ネットワークを担当したのが《ソフト開発グループ》だ。「通信関連の設計や製作に取り組むのは初めてでしたので、最初は何から手を付けていいか分かりませんでした(苦笑)」。そう語るのは、ソフト開発グループリーダーの石藤裕大さん(33)。精密鋳造の会社から転職し、5年前に入社した。
ルピナスは通信機能を使い、健康データの保存や最新のマッサージプログラムを取得できるのが特徴。そのために通信用の専用基盤の開発、専用クラウドサーバーの開発、ネットワークの構築、通信会社との交渉など、数々の課題をクリアしながら、1年というスピードで完成にこぎつけた。「マッサージプログラムは体の専門家と相談して考えています。それをどう機械で再現するかが一番重要です。社員に体感してもらって改良を重ねる、その連続ですね。でも新しいものを生み出すのは、エンジニアとしてとても魅力ある仕事です」と、開発の喜びを語る。

ソフト開発グループの石藤リーダー。社員の体感を元に改良を重ねる
お客さまの声がやりがいに
ファミリーイナダの特徴は、製品の設計から生産まで全ての工程を自社で行っているところにある。「自分が携わった製品が目の前で生産されていく様子は、言葉では言い表せない感動があります。また、お客様から感謝のお手紙を頂く事もあり、その度に自分が携わった製品を喜んでくれている人がいる事にとても暖かい気持ちになります」と、石藤さんは笑顔を見せる。
意見やアイデアを出せる職場
完成した設計をもとに製造を行うのが《製造セクション》だ。中国・上海に子会社があり、そこでの生産が主であったが、ルピナスとルピナスROBOは大山工場で生産している。
1台のマッサージ機を組み立てるためには、まずはフットレストや背中部分、タブレットなど、各パーツごとに組み立て、最終的に合体させる。各パーツごとで班に分かれており、現在45名のスタッフが働いている。スタッフは20代から60代までと幅広いが、若い人たちもたくさん活躍している。入社歴が浅くてもどんどん意見が言える、アイデアを出せる職場だ。また中途採用者もたくさん活躍している。やる気のある人には、チャレンジする場が設けられている会社である。


社内外で製造した部品やパーツは、ここ大山工場でひとつのマッサージチェアとして組み立てる。増える需要に応えるために迅速かつ細心の注意を払って作業する
生まれ育った故郷への貢献
地域の事業再建にも自身の経営手腕を惜しみなく投じてきた稲田会長。経営の再建が必要だった《国際ファミリープラザ(旧米子国際ホテル)》、《シャトー・おだか(旧尾高ハイツ)》、《大山レークホテル》の事業を継承し、運営を開始。どの施設も黒字化を果たした。 また大山寺の門前にて、日帰り温泉施設《豪円湯院》をオープンさせるなど地域産業の活性化にも力をいれている。



